秋の王者、FCアウボラーダ登場 グループB
初戦が終わり、替わりに入ってきたのは絶対的エース、10#エンヒッキ・松茂良・ジアス擁する強豪、FCアウボラーダ。
対するは千葉、北海道、埼玉の3チームによる合同チーム①です。去年から大幅に戦力を拡充し、FC九州バイラオール&FCアウボラーダ2強時代に風穴を開けるべく、黄色と黒の戦闘服に身を包み今大会に挑みます。
前半
10#古城暁博選手からの開幕シュートで始まった前半は、互いに一進一退。キャプテン8#根本大吾選手の精度の高いプレイスキックがゴールを期待させます。
合同チーム①は抜群の安定感を誇る10#古城選手と8#根本選手を両軸とした戦術。ターゲットマンとして、またその鋭い突破力をフルに活かします。
おとなしい立ち上がりのFCアウボラーダも前半5分、ゴール前で待ち構えていた11#岩崎選手のシュートを合図に、攻撃の口火を切ります。FCアウボラーダは10#エンヒッキ選手を中心に、様々な方向から多彩な攻撃を仕掛けます。
直後には相手のルーズボールをひろった10#エンヒッキ選手がそのまま持ち込み鋭いシュート。角度のないところから放たれたシュートはGKの手先を抜け、ポストを直撃!
合同チーム①は一旦は難を逃れますが、クリアしたボールは再びFCアウボラーダへ。折り返すように上げられたセンタリングを、フリーになっていた11#岩崎選手が落ち着いて決め、FCアウボラーダが幸先よく先制点を挙げます。
10#古城選手から檄が飛びます。
「ボールウォッチャーになるな!」「互いにマークを確認して!!」それに呼応して、
「取り返すぞ!」キャプテン8#根本選手の怒声がこだまします。
しかし、意思疎通がうまくいかない彼らに、FCアウボラーダが再び牙を向きます。
前半9分、中央付近で6#細谷選手から10#エンヒッキ選手へボールが渡ると、下がり気味だった相手DFの前には広大なスペースが。10#エンヒッキ選手に自由なスペースを与えることは失点を意味します。ワンフェイントで難なくDF陣をかわすと、そのまま技ありシュートで2点目。
1点を返したい合同チーム①ですが、相手の冷静なパス回しを捕まえられず、ずるずるとラインが下がります。こうなると防戦一方、苦しい状況に。
タイムアウトで気持ちを入れ直し、合同チーム①が攻勢に出ます。公式戦デビューとなった45#野口選手が、10#古城選手、63#前澤選手との連携で決定機を作りますがシュートを打てず。
その後も散発的に攻め入る合同チーム①でしたが、主導権を奪えないまま、FCアウボラーダの攻撃を許してしまいます。
キャプテン14#遠藤選手のバランス感覚、8#高橋選手のドリブル、6#細谷選手の飛び出しと、とにかく引き出しの多いFCアウボラーダ。そして、DFが混乱する隙を突くのは絶対的エース10#エンヒッキ選手。
合同チーム①は10#古城選手にボールを集めますが、ここはベテラン2#新井選手が突破を許しません。
45#野口選手も果敢な攻めを見せますが、あと一歩のところでボールを奪われます。
2点のビハインドを背負い、前半を折り返した合同チーム①、苦しい。
後半
後半から合同チーム①は、長身の9#後藤選手、女性プレイヤーの70#佐藤直美選手を投入し、状況の打開を図ります。
しかしすぐにFCアウボラーダにペースを握られると、後半3分、10#エンヒッキ選手のコーナーキックをGK55#奈良選手が後逸し、アンラッキーな失点。
片腕しか使えないGKにとって、精度の高いセットプレーを止めることは、健常者サッカーよりも格段に難しいのです。
その後もPKを献上するなどなかなか自分たちのプレイができない合同チーム①。ベテラン10#古城、8#根本の2選手が果敢に攻撃を仕掛け、新加入の選手や若手選手も奮闘しますが、FCアウボラーダのゴールをこじ開けることができません。
逆に、FCアウボラーダの攻めに手を焼き、10#古城選手が前線で孤立する場面も。
DFの役割を担う2#新井選手も、最終ラインをかなりの高さまで上げてきます。
初戦の硬さも手伝って、合同チーム①の攻撃は最後まで実ることはありませんでした。
終わってみれば大量6ゴールの圧勝。エンヒッキ選手のハットトリック、若い9#秋葉海人選手の公式戦初ゴールと、FCアウボラーダにとって内容的にもポジティブな結果となりました。
一方の合同チーム①は敗れはしましたが、諦めない姿勢と若手や新人選手を積極的に起用する姿勢は特筆に値するものでした。実戦の機会に乏しい合同3チームの選手たちにも経験を積ませたい、という強い思いを感じました。
FCアウボラーダも7#石井賢選手、9#秋葉選手、51#久保満寛選手の小中学生プレイヤーを投入するなど、若手育成に積極的なアンプティサッカー界の親心を感じますね。
FCアウボラーダではやはり10#エンヒッキ選手。その異次元なプレイはこの大会でも健在。合同チーム①の選手では個人的に印象に残ったのはGK55#奈良選手(AFC Bumblebee千葉所属)大量失点でも大きな声でチームを励まし続け、決して批判せず笑顔でプレーし続ける姿は、経験の浅い選手達に大きな安心を与えたはずです。
背水の陣のバイラオールに挑むアフィーレ
2連覇に向けて、2戦目にして黄色信号が点り始めたFC九州バイラオール。2戦目は単独チームとして出場を果たしたアフィーレ広島AFC(以下アフィーレ)との対戦です。
アフィーレは広島を拠点としたクラブ型チームで、障害者スポーツへの積極的な取り組みに注目が集まっています。
日本代表に選出された11#天川選手、攻撃的な4#谷口選手、9#角選手という攻撃陣を前線に並べ、バイラオールに挑むアフィーレ広島。バイラオールは1戦目を回避した点取り屋10#萱島選手がスタメンに入りました。
前半
序盤から攻め込むバイラオール。第1試合の悪いイメージを払拭するべく、10#萱島選手を中心に得意のパス回しとスピードに乗るドリブルでアフィーレ守備陣を切り裂いていきます。
11#天川選手はバイラオールの選手へ積極的にプレスをかけ、ピンチを摘み取っていきます。 しかし幾度も畳み掛けるバイラオールの攻撃を、次第にアフィーレは防ぎきれなくなっていきます。
そして前半6分。左コーナーから7#加藤選手が上げたボールを、マークを巧みに外し完全フリーになった10#萱島選手がヘディングで押し込みます。バイラオールにこの人あり。
アフィーレも黙って押し込まれてはいません。失点の2分後、22#齋藤選手のキックインを9#角晃一郎選手が落とし、走りこんできた11#天川選手がダイレクトシュート。GK1#東選手に阻まれますが、良い攻撃を見せました。
しかしアフィーレの攻撃はその後なりを潜め、変わってバイラオールが主導権を握ります。アフィーレが攻め込む気配を見せるも、6#松田選手が早い判断で攻撃の芽を摘み取り、カウンターに。苦しまぎれのクリアはことごとくバイラオールに拾われ、再び攻め込まれる展開が続きます。
そして前半12分。9#野間口選手のグラウンダーのコーナーキックは7#加藤選手の足元へ。絶妙にスラされたボールは、ペナルティエリア内に待ち構えていた10#萱島選手のもとへ。10#萱島選手は落ち着いて足を振り抜くだけでした。やはりストライカーはボールを呼ぶのか…バイラオール、会心の2点目!
この後もバイラオールは一方的にボールを支配し、前半18分には7#加藤選手のキックインを9#野間口選手が合わせて3-0。
その後さらに1点を追加、前半を4-0で折り返します。
後半
前半のうちに4点を失い、敗色濃厚なアフィーレ。その状況が逆に彼らを奮い立たせました。後半開始から、アフィーレは積極的にシュートを狙います。11#天川選手が持ち込み、サイドの22#齋藤選手へ。そして22#齋藤選手の落としを9#角選手が遠目からのミドル。綺麗な連携を見せます。2選手で挟み込むようなプレスも機能し、バイラオールに攻撃の隙を与えません。
10#萱島選手がベンチに退いたバイラオールは、13#秋田選手を投入しますが、なかなか前線にボールを収めきれず、前半で見せた鋭さがありません。9#野間口選手は守備的なポジションに着いたこともあって、前半10#萱島選手の守備に忙殺されていた11#天川選手が、水を得たように躍動します。
それに呼応して勢いつくアフィーレの選手たち。11#天川、9#角、22#齋藤選手を絡めたアフィーレのパスワークが光ります。
4#谷口選手も豊富なスタミナを生かして、プレスに、攻撃にと、フィールドを駆け回りました。
押し込まれるバイラオール。5#原岡、3#前島を投入し、さらに守備の色を深めます。
その中で気を吐いたのは11#星川選手。前線への突破やポスト役に回ることで、好きにさせていたアフィーレの勢いを抑え始めます。
相手ディフェンスを物ともせず、果敢に攻めます。
守備の負担が軽くなったバイラオールは、9#野間口、6#松田選手が前線に顔をだせるようになりました。
しかしスコアは動くことなく、試合終了。前半の4得点を守りきったバイラオールが貫禄勝ちを収めました。
シュート数は後半アフィーレが圧倒しましたが、惜しかったのはフィニッシュ精度。1本でも決まっていれば…!ただ、アフィーレの秘めたポテンシャルは観客にも強烈なインパクトを与えたでしょう。
2チームの試合は、アンプティサッカーにおけるエースの重要性を実感する試合でもありました。もし、10#萱島選手が試合に出ていなかったとしたら、試合の展開はもう少し変わっていたかもしれません。2強と抵抗勢力との距離は確実に縮まってきています。
最も印象に残ったのは10#萱島選手、11#天川選手。それぞれチームの核心と言っても差し支えないほど、彼らの存在でゲームは左右されていた感があります。逆に、チームにとって両刃の剣でもあり、今後のチーム強化の方向性は興味深いものがありますね。
③へ続く
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