パラキートのパラスポーツ日記

障害者サッカー中心のブログです。アンプティサッカー、電動車椅子サッカー、ブラインドサッカー、CP(脳性麻痺)サッカー、デフ(聴覚障害者)サッカー、ソーシャルフットボール(精神障害者サッカー)、知的障害者サッカーなど。そのほかのパラスポーツも紹介していきます!

ドリームな夜!電動車椅子サッカードリームカップ③

 

Nanchester United鹿児島、逆境を跳ね返しての戴冠

興奮の展開となった第20回ドリーム・カップは、Nanchester United鹿児島の劇的な優勝で幕を閉じました。最終順位は以下の通り。

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優勝:Nanchester United鹿児島(鹿児島県
2位:FCクラッシャーズ(長野県)
3位:YOKOHAMA Crackers(神奈川県)
4位:レインボー・ソルジャー(東京都)
5位:Red Eagles兵庫 (兵庫県
6位:金沢ベストブラザーズ(石川県)
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Nanchester United鹿児島は、鹿児島県からの長距離遠征ということもあり、メンバー全員を揃えることができませんでした。それでも優勝という結果を残したことは驚くべきことです。

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そして惜しくも2位となったFCクラッシャーズですが、マリノス・カップに引き続き今大会でも好パフォーマンスを披露。静岡で開催される今年の日本選手権でも大会の台風の目になりそうです。

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3位となったYOKOHAMA Crackersは、昨年の日本選手権で順位つかずとなり、一度落ちるところまで落ちた感がありました。結果は3位でしたが、再浮上する途上のチームにとってポジティブな要素も多い大会になり、今後に向けて良いきっかけになったかもしれません。

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4位のレインボー・ソルジャーもその強さを随所に見せつけてくれました。試合内容に結果は伴いませんでしたが、W杯が終わり選手がチームに専念できる環境になれば、再び他チームにとって大きな壁になることは間違いありません。

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5位となったRed Eagles兵庫。こちらも試合内容と結果が伴いませんでしたが、毎試合得点をマークし、敗戦も1点差という僅差の試合が多く、どのチームとも横並びの感がありました。4失点の反省を生かして、半年後の日本選手権につなげたいところ。

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そして6位の金沢ベストブラザーズ。全敗、6失点という結果はチームにとって課題の多い内容となりましたが、宿敵レインボー・ソルジャーから挙げた1点は大きな自信に結びついたことでしょう。何より、どの試合も楽しそうにプレイしていたのが印象的でした。チームも改革に向けて試行錯誤中。どんな風に変化していくか、これからが楽しみです。

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関東勢と関西勢で覇権を争う傾向が近年強くなってる電動車椅子サッカー界ですが、九州や中部などの地域から新たな勢力が台頭すれば、さらに盛り上がることは間違いありません。今回はそんな期待感も膨らむ素晴らしい大会でした。

 

真の戦いはこれからだった

表彰式が終わり、撤収作業もほぼ完了。この後の懇親会にご招待いただいたので、私も同行しようと思っていたとき、一人の選手がポツリと一言…。

 

「…今年は優勝を狙っています」

…今年…?来年じゃなくて?
大会は今終わったばかりですけど?

そして移った先の会場で見たものは…。
?お百姓さん?がビール片手に…

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え、YOKOHAMA Crackers11#中山環選手が金太郎?そして着物姿の1#山田春香選手と17#永岡選手。

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妙に艶やかな平野監督…。

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そう、彼らが優勝を狙っていたのは、懇親会でのパフォーマンスバトルだったのです。見れば、他のチームも選手・スタッフが趣向をこらしてパフォーマンス。

懇親会の会場にはこんな方もいらっしゃいました。
国際審判員・JPFAインストラクターの斎藤純一氏。2011年電動車椅子サッカーW杯フランス大会に続き、今回のアメリカ大会でもすでに派遣が決まっています。今大会でも試合を裁き、大会全体が円滑に進むよう最大限の注意を払っていました。

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そんな厳格な斎藤氏は…

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 「I'M A PERFECT HUMAN…!」

パフォーマンスバトルは、国際審判員を味方につけるという掟破りで金沢ベストブラザーズが優勝…それでいいのか(笑)。

 

日本選手権の時は、この日のために一年間のパワーを全て注ぎ込んだため、選手もスタッフも体力を使い果たし、そのまま宿泊地へ戻るというような感じでした。
しかしドリーム・カップでは、選手同士・チーム同士の交流も大切にし、このような息抜きの機会を設けていました。費用面や体力面で気軽に遠征ができず、チーム同士の交流も滞りがちな彼らにとって、この懇親会は本当に貴重な時間なのだと、実際に参加してみて改めて思いました。
懇親会が終わった後も、飲み足りない選手たちで集まって夜の街へ消えていきました。…それにしてもみんな呑むなあ…。


電動車椅子サッカーを心から楽しむ、北陸の家族チーム

今回、私が個人的に注目していたチームがあります。それは、懇親会のパフォーマンスで見事に優勝を飾った金沢ベストブラザーズ。もちろん懇親会のパフォーマンスに注目していたわけではありません。
昨年の日本選手権でのエルスト広島戦で撮影した写真の弾ける笑顔が印象に残っていました。

 

okina-para-sports.hateblo.jp

 

f:id:okina_monkparakeet:20170430135222j:plain金沢ベストブラザーズは石川県金沢市を拠点に活動するチームです。設立は1995年。城下歩選手が、監督兼選手としてチームの指揮にあたっています。

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facebookの練習風景で見るチームの雰囲気は、まさに「ブラザーズ」。スタッフと選手の仲が良く、楽しんで練習に打ち込んでいる様子が伝わってきます。


今大会では結果は振るわなかったものの、この大会を楽しもうという気持ちが感じられるシーンを随所に見ることができました。


全員で円陣を組み、気持ちを共有します。

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ナイスプレイが出ればハイタッチ。

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劣勢に立たされていてもどこか楽しそうな表情を見せます。

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監督兼選手として活躍する10#城下歩選手。キャプテンからコーチ、そして監督としてステップアップしてきましたが、チームの指揮を任された当初は、指導がうまくいかず、イライラを募らせて怒ったことも多かったそう。この表情からはちょっと想像もつかないですね。

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城下選手は金沢ベストブラザーズをまとめるだけでなく、競技の普及や全国的な競技レベルの向上のための活動を、精力的に行っています。そして、指導者としての研鑽も怠りません。懇親会では、日本の電動車椅子サッカーの将来について、時には饒舌に、時には痛烈に、熱く語ってくださいました。

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4月からは、全国の電動車椅子サッカーチームからの依頼を受けて、指導者としてチーム訪問をする取り組みをスタートさせました。日本代表選手としての経験と、日本代表監督経験者の父を見続けてきたことが、彼の情熱の原動力かもしれません。

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17#牧野勇樹選手。今期からゲームキャプテンに就任。

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11#城下由香里選手は10#城下歩選手のお母様です。お話して感じたのは、チームのお母さん、という印象。肝っ玉母さんという感じかもしれません。
実は、城下家のご家族皆さんがスタッフとして関わっており、本当にファミリーなチームなんです。

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8#山崎勉選手。Red Eagles兵庫戦ではアンカーとして奮闘しました。

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7#畠幸江選手。チームキャプテンとして、選手たちをまとめる重責を担います。

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今大会には帯同できませんでしたが、4#野川康平選手も大阪の日本選手権に参加していました。

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電動車椅子サッカーは、選手の介護に家族のサポートが欠かせないという側面もあり、家族の介入は決して珍しいことではないのですが、金沢ベストブラザーズのようなチームは珍しいかもしれません。ただそこには妥協など一切なく、常にチームのために行動するプロフェッショナルな危害を感じました。パラキートも、練習風景を一度見学してみたいと思いました。

皆さんも注目してみたいチームを見つけると、電動車椅子サッカーの楽しみ方がより一層深まると思いますよ!

 

試合をコントロールする審判たち

大阪での日本選手権レビューの中で、審判の誤審について言及したことがありました。

 

okina-para-sports.hateblo.jp

 

記事には多少なりとも反響があったため、自分も審判については色々と調べ、実際に講習を受けてみました。そんなこともあり今回は審判の働きにも注目していました。

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決断を下す時は迷いなく迅速に。少しでも迷いを見せると、選手たちのパフォーマンスにも影響してしまいます。

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ヒートアップするシーンも、口頭でしっかり注意を与えることで、事故などを未然に防ぎます。試合中のアクシデントなども彼らが対応し、試合の遅延を防ぐのです。事故なく大会を終わらせることで、円満に大会を継続開催できる。「大会を守る」という使命も彼らは負っています。

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コーナーキックでは選手の要望を聞き、最適なポジションにボールをセットします。リスタートは素早くというのが鉄則なので、時には足にバンパーが接触し、怪我をすることも。

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試合のタイミングを調整する役割も果たします。早くリスタートしたい選手の気持ちを抑えるため、ボールをセットし、一拍置く。そうすることで試合のテンポを管理することになります。

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試合会場の設営・撤収も審判の仕事です。選手たちは彼らの働きによって、安心してフィールドを駆け巡ることができます。

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確かに誤審は見逃されてはいけないものですが、かなりきわどい判定を要求される電動車椅子サッカー。そのプレッシャーは相当なものです。私も副審を経験して、シビアさを実感しました。

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試合観戦の際は、審判の取り組みもぜひ注目してくださいね!審判のみなさま、お疲れ様でした!

 

日本選手権が「日本最強チームを決める」大会なのに対し、ドリーム・カップはまさに夢の共演といった感じで、電動車椅子サッカーの魅力を凝縮したような大会でした。
これだけ盛り上がる要素の詰まった素晴らしい大会、惜しむらくは「もっと告知が行き届いていればよかったのになあ」というところでしょうか。
選手たちが前日までにfacebooktwitterで拡散していたので、つながりのある方はわかっていたと思いますが、一般の方は大会の告知を見つけることができず、大会の存在も知らなかった方が多いと思います。日本代表選手も揃う貴重な機会だっただけに、ちょっと残念…。
もっとたくさんの方に、ぜひ足を運んでいただきたい大会でした。来年の広報に期待ですね!

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 (了)

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