延長戦は気力を尽くした戦いに
声援に沸いた前後半50分が終了して、試合は延長戦に突入。
観客もメディアも、固唾を飲んで勝負の行方を見守ります。
開始直後は互いに慎重なプレイでスタート。
徐々にスピードが上がってきた後も、細かなプレイよりも
真正面からぶつかり合うようなガチンコ勝負が目立ちはじめました。
前後半の激しい試合展開ですでに相当な体力を消耗しているのが見て取れます。
獅子奮迅の活躍を見せてきた10#エンヒッキ選手もとうとう脚を攣ってしまいます。
他の選手もピッチにに倒れこむ様子が見え始めました。
そろそろ限界も近づいているようです。
FCアウボラーダは終了間際に10#エンヒッキ選手がペナルティエリア内で倒されるも
PKはならず。そしてスコアは1-1のまま、延長前半が終了。
最後の10分が始まります。
ついに決着!日本の頂点まで最後の10分間
後半はFCアウボラーダのパスワークで試合がスタート。
対するFC九州バイラオールはGKのロングフィードで省エネプレイを選択。
それが功を奏した延長後半開始直後、7#加藤選手の的確なFKを
11#星川選手が頭で強烈なヘッド!
しかしFCアウボラーダはGK21#長野選手が飛び出してのスーパーセーブ!
まだ得点は動かない!
その直後FCアウボラーダが相手の隙をつき攻め込みます。
そしてCKを得るとそのボールを蹴るのは…
10#エンヒッキ選手。そのボールは弓なりの弾道を描いて…
7#加藤選手の体にあたり無常のオウンゴール!!
これで2-1!FCアウボラーダ、ついに逆転に成功します!
FC九州バイラオールの選手たち、
沈みかける夕日を受けて、焦りの色が濃くなり始めます。
この機を逃さぬとばかりに、一気呵成に攻めるFCアウボラーダ!
対するFC九州バイラオールは1点ビハインドの気負いからか、
カウンターで数的不利になるピンチを立て続けに引き起こしてしまいます。
なんとか猛攻を凌ぎきるFCバイラオールも負けずと反撃。
ロングパスから11#星川選手がシュート!6#細谷選手とGK21#長野選手、
声を掛け合う暇もなく体ごとブロック!
両者激しく接触し、細谷選手は暫く立ち上がれません。
完全に死闘の様子を呈してきました。
そして間も無く試合が動きます。
後半8分、3#西條博信選手の相手を欺く美しいバックパスから…
そのパスが来ることをを信じて走った6#細谷選手が見る先には…
10#エンヒッキ選手が!ドリブルで3人を抜き去り、そのまま脚を振り抜く!
ボールはゴールに吸い込まれ…得点を認めるホイッスルが!!!
スコアは3-1。残り2分の状況で、完全にトドメを刺す一撃です!!
3度雄叫びをあげ、空に高く指を突き出すエンヒッキ選手!!
勝利を確信した瞬間だったのかもしれません。
FC九州バイラオールの選手たち、さすがに立ち上がる気力がありません。
泣いても笑っても、残り2分。
汗を拭いて、前を向く。決して諦めない選手たち!
その後も死闘は続きます!そして…
ついに勝負つきました!優勝はFCアウボラーダ!!
ホイッスルの瞬間、6#細谷選手が腕を突き上げる。
その場で崩れ落ちる6#松田選手。
エンヒッキ選手が高く拳を突き上げ
それを中心に歓喜の輪が広がっていきます!
去年の雪辱を見事にはらして、2大会ぶり2度目の優勝です!
戦いを制して、緊張から解放されたメンバーに笑顔がこぼれます!
茫然自失、立ち上がれない選手たち。
それでもものすごい死闘を見せてくれました。
素晴らしい突破とボール奪取で数々のチャンスを演出した10#萱島選手。
その目には涙が浮かびます。
過去幾度も対戦し、互いに涙と勝利を分け合い続けた両者ですが、
やはり敗北の味はいつまでも慣れないもの。
萱島選手の悔しさのにじみ出た表情がファインダー越しに突き刺さりました。
選手がこの大会にかけていた思いが伝わってくるようでした。
そしてもうひとつ印象的だったのが、エンヒッキ選手のこの表情。
日が沈む空を見上げながら、そこには笑顔はありませんでした。
勝利に微笑む余裕がないほど力を出し尽くしていたのか、
ライバルの気持ちを慮ってのことなのか…彼の心中はわかりません。
互いに健闘を称え合い、観客への挨拶。
「アウボラーダおめでとう!」「おつかれ!!」「バイラ頑張った!!」
の声でスタンドが埋め尽くされます。
そして、FCアウボラーダの選手たちの歓喜が爆発!!!
観客のファンへ改めて勝利を報告。観客席が再び歓声に包まれます。
緊張の解けた選手たちの最高の笑顔!!
戦い終わって日が暮れて…
大会はFCアウボラーダの劇的な逆転勝利そして優勝で幕を閉じました。
今回見ることができなかった1日目も、それぞれのチームが
同じように激闘を重ねてきたことだと思います。
表彰が進んで行く間、選手たちの顔ぶれや会場の様子を見ながら、
ずっと考えていました。
初めて目の当たりにしたアンプティサッカーの魅力。
これだけ魅力のあるスポーツが、もっと身近なところで
当たり前に見かけられるようになったらどんなにエキサイティングか、と。
4年後も大きな注目を浴びる競技になるかは未知数です。
しかし、四肢欠損という大きなハンデを追いながら、
健常者以上のパフォーマンスを見せる彼らの姿はとても迫力があり、
人間の底力を感じさせてくれました。
そんな彼らのプレーを、もっとたくさんの人に見てもらいたい。
そんなことを心の底から思いました。
今はチーム数も全国で8チームだけ。
リーグ戦も開くことが困難な状況ではありますが、
認知が広まり、競技人口が増えてくればチーム数も増え、
リーグ戦も開催できる日が来るかもしれません。
そしてその頃ピッチを駆け回り、日本のアンプティサッカー界を牽引するであろう
小さな選手たちが、すぐ目の前にいました。
アンプティサッカーのさらなる発展の手助けを、
このブログを通して少しでもできたら…そんな風に思えてなりませんでした。
第3位:関西セッチ・エストレーラス
準優勝:FC九州バイラオール
優勝:FCアウボラーダ(2大会ぶり2度目)
特別賞 : 佐藤 直美 選手(AFCBumblebee千葉)
特別賞 : 秋田 真弓 選手(FC九州バイラオール)
最優秀選手賞 : エンヒッキ・松茂良・ジアス 選手(FCアウボラーダ)
最後に
いかがでしたでしょうか?
一つの大会を本格的にブログ記事にしたのはこれが初めてなので、
稚拙な部分やわかりにくい部分もたくさんあったと思います。
写真も稚拙で、中にはピンボケで見るに堪えないものもあったかもしれません。
それでも、アンプティサッカーの魅力は伝わったのではないかと思っています。
もしアンプティサッカーに興味を持たれたら、一度会場に足を運んでください。
いくら映像や写真で見ても、本物のの迫力にはかないません。
そして、アンプティサッカーを育てていくのは、こうして興味をもち、
会場に直接足を運んでくださる観客なのです。
最後に、現在活動を続けている8つのチームを紹介します。
今回あまり紹介できなかったチームもあります。
皆さんのお近くで活動しているチームを見つけて、
まずはサポーターになってみてくださいね。
アフィーレ広島AFC
AFCBumbleBee千葉
AFC BumbleBee千葉(千葉県) | 日本アンプティサッカー協会
FCアウボラーダ
FC九州バイラオール
FC九州バイラオール | 九州のアンプティサッカーチーム FC九州バイラオールのページです
関西セッチ エストレーラス
関西Sete Estrelas Official Web Site
TSA FC(HP内にチーム情報あり)
ライフスタイルに合わせた義肢装具製作 | 株式会社アクティブプロス
(了)
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