電動車椅子サッカーって知ってますか?
電動車椅子サッカーは、その名の通り電動車椅子に乗ってプレイするサッカー。
自立歩行が困難な障害者でもプレイできる競技で、その歴史は古く、
1978年にフランスで始まったそうです。日本に上陸したのは1982年。
選手は足でプレイする代わりに、バンパーが取り付けられた電動車椅子に乗り、
ジョイスティック上のコントローラーを手やあごで絶妙に操りながら、
直径32.5cmの巨大なボールを相手ゴールに蹴りこみ、得点を狙います。
繊細なドリブルや車体を一回転させて繰り出すシュート、
1vs1の局面で見られるボールを挟んだ攻防など、見ごたえのあるスポーツです。
男女混合でクラス分けはなく、GKとフィールドプレイヤーの合わせて4人で1チーム。
電動車椅子の時速制限は国際大会で時速10km,国内大会では時速6kmとなります。
※国際大会のみ、障害の程度によってクラスが2つに分かれ、出場が制限されます。
ボールの大きさ32.5cm、こうしてみるとわかりやすいですね。
これでフットサルやってみたいw
そもそも電動車椅子って?
パラキートが抱いていたそれまでの電動車椅子のイメージは、
高齢者が買い物の時に乗るようなスクーター状の乗り物か、
もしくは通常の車椅子に簡易的な電動ユニットを取り付けたもの。
電動車椅子サッカーで使用される競技車の主流は、
アメリカで製造されている「Strike Force(ストライクフォース)」という
小回りもパワーも兼ね備えた海外製電動車椅子で、
鋼鉄のバンパーを取り付けたその姿は、例えるならば「重戦車」です。
バンパーには「かまぼこ型」「角型」「角丸型」とあり、
選手はそのプレイスタイルに合わせてバンパーを選びます。
ボールの接地面が大きい「かまぼこ型」はドリブルがしやすい分、
当たり負けしやすい欠点もあります。
左から「かまぼこ」「角型」「角型」「かまぼこ型」「角型」「角丸型」。
アメフトのフェイスガードみたいですね。
当然、激しいあたりから身体を守る役割もあります。
スタッフによるメンテナンス風景。
ルールは意外にシンプル
コートは屋内のバスケットコートとほぼ同じ。ゴールネットはありませんが、
代わりにゴールとなるポールが2本、それぞれに設置されます。
ポールの間をボールが通過した時点で得点になります。
試合は前後半それぞれ20分、決着がつかない場合は延長戦、
それでも決着がつかない場合はPK戦となり、最後はコイントスで勝敗が決まります。
©埼玉県電動車椅子サッカー協会
決勝の勝敗がコイントスで決められる場合は切ない気分にさせられますね…。
そのほか、電動車椅子サッカー特有のルールとしては
3パーソンルール
…ペナルティエリア内にディフェンスが3人以上入ってはならない。
2on1ルール
…ボールの周囲半径3m以内に各チーム1人以上入ってはならない。
この2つのルールは、車体を連ねてシュートを防いだり、
団子状態になって試合が膠着するのを防ぐために設けられたルールですが、
このルールのおかげで1vs1のボールの奪い合いや頭脳的なディフェンスなどの
見所が増え、より競技に深みを与えています。
©埼玉県電動車椅子サッカー協会
正面からのぶつかり合い。車体が浮くこともあります。
競技の見所!
大きな声で指示を出せない選手も多くいるので、試合中は「be quiet!」が基本。
そんな静かな環境の中行われる競技ですが、思わず熱くなる見所は随所にあります。
・高速回転シュート
主にFKや車体を軸にして、360度回転をかけつつシュートを放ちます。
これが想像していた以上にすごい回転なんです。
選手にも負荷はかかりますが、同時に得点のチャンスでもあります!
©埼玉県電動車椅子サッカー協会
連続写真です。
・ガチンコの競り合い
©埼玉県電動車椅子サッカー協会
2on1のルールが演出するガチンコの競り合い。
衝撃はウィルチェアラグビーほどではないですが、
時には相手選手の駆動系を破壊してしまうこともあります。
ボールを獲れるか獲れないかで大きく戦局が変わるため、
一歩も譲らない攻防が続きます。
・ビリヤードのような頭脳的なパス回し
国内試合では制限時速が6km。
ボールの速度と移動距離がほぼ同じくらいなので、パス回しが重要になってきます。
相手がパスをカットできない絶妙なコースを狙って、ビリヤードの要領でパス。
このパスが通るか通らないかのハラハラ感も、また手に汗握ります。
まあ、でもなんと言っても、観客と選手の近さによる
一体感が最大の見所かもしれませんね。
次はもう少し電動車椅子サッカーを掘り下げてみたいとおもいます。
(了)