初めて見る「世界」
日本でソーシャルフットボールが発足して以降、国内開催の国際大会において日本のチームが海外チームと試合をしたことは、2016年に大阪で開かれた第1回ソーシャルフットボール国際大会しかありません。
国際大会・日本代表|JSFA|NPO法人日本ソーシャルフットボール協会
この時はペルーとイタリアがゲスト対戦国でした。
関東選抜が次に対戦するのは隣国、韓国のソーシャルフットサル代表チーム。障害カテゴリが異なるとはいえ、アジア諸国との対戦はおそらくこれが日本初です(民間レベルでは不明)。
韓国代表チームも練習に姿を現しました
1戦目で敗戦を喫し逆に重圧から解放されたのか、少し長めの休憩を挟んで再びピッチに姿を現した関東選抜。リラックスした状態で練習を開始します。相手はほとんど情報のない韓国チーム。ぶつかって結果を出すのみで、失うものは何もありません。
1戦目にも増してウォーミングアップに力を込める関東選抜メンバー
ピッチに登場する両チーム。1戦目を無得点で終えた関東選抜は、2戦目の得点と勝利を狙います。
円陣を組み、必勝を期する関東選抜!さあ、キックオフです!
前半
キックオフは関東選抜から。
気負いもなく、関東選抜は序盤から積極的に攻めていきます。韓国代表は日本代表よりもプレスが甘く、比較的容易に陣内へ攻め入ることができます。
7#木下選手もドリブルから持ち込んでシュート!
そしてついに待望の瞬間が訪れます。前半開始30秒、油断からか、韓国代表のディフェンス処理を誤ったボールを関東選抜は逃しませんでした。
カットしたボールは、キープ力のある8#世羅選手へ。そこから絶妙なヒールでの落とし。そこへ走り込んできたのは、ソーシャルフットボール日本代表を経験したこともある5#竹田選手。
相手GKの手を弾いたボールはそのままゴールへ!関東選抜が待望の初得点を記録します。喜びを爆発させる5#竹田選手!
5#竹田選手の元へかけよるメンバーたち。関東選抜として初めての得点に歓喜!
その後もルーズな韓国代表の攻めをカットしてシュートまでつなげていく関東選抜。ディフェンスでの高い集中力が持ち味の関東選抜、韓国代表に決定的なシーンを作らせません。
突破力が持ち味の9#橋口選手は韓国代表も手こずらせました
10#伊藤選手もドリブルを仕掛けていきます
しかし、初戦と同じく序盤の怒涛の攻めは長続きしません。前半5分過ぎには韓国代表から立て続けにシュートを浴びます。
次第に押され始める関東選抜。韓国代表は早いプレスと個人技で関東選抜の攻撃の芽を摘みます
その後もカウンターには持ち込めず、前半7分には甘くなったプレスの間にパスを通され、華麗なヒールシュートで押し込まれて失点。その1分後には不運なオウンゴールを献上し、逆転を許します。
失点してもチームを鼓舞し続けるGK12#高田選手
序盤にもたついた韓国代表も、この頃にはしっかり立て直し、試合の主導権を握り始めます。日本戦での疲れがではじめたのか、守備の集中力が鈍る関東選抜。止められそうな縦パスを簡単に許すシーンが目立ちます。
甘いシュートはカウンターの餌食になり、後ろでパスを回すエイト(8の字)の動きもままなりません。それどころか、自陣深くでボールをロストし、ピンチを作るシーンも。
ディフェンスも、どうしても後手に回ります
関東選抜も黙ってばかりではありません。前半7分、ピッチサイドで得たフリーキックは韓国ゴールを強襲。相手GKに阻まれますが、直後のコーナーキックから9#橋口選手が惜しいシュートを放つなど、関東選抜もチャンスを作ります。
強烈ミドル炸裂!しかしゴールなりません
しかし、それもつかの間。前半9分、韓国代表がセンターサークル付近から強烈なロングシュート。GK12#高田選手はこの強烈なライナーを止められず、失点。
厳しいコースを突いてくる韓国代表のシュート。12#高田選手も止められず…!
関東選抜はタイムアウトをとって選手たちに再び落ち着きを取り戻させます。
すると前半10分、センターサークル付近から駆け上がる4#選手が、ゴールエリア間際へ走る5#竹田選手につなぐと、5#竹田選手はディフェンスを十分引きつけてから、逆サイドで完全フリーになっていた8#世羅選手へラストパス。
4#高田選手から5#竹田選手へ。タメて放たれたパスを蹴り込んだのは、左から駆け込んできた8#世羅選手!
8#世羅選手はそのボールを落ち着いてゴールに流し込み、2点目をマークします。
しかしこの失点直後、巧みな個人技で韓国代表が再び突き放します。 試合は乱打戦の様相に。
さらに1点を失い、2-5となった前半12分、ディフェンスのミスからGK11#高田選手と相手選手が1対1になる絶体絶命のピンチ!
最終ラインでパスカットされた関東選抜。絶体絶命のピンチを切り抜けたのはGK12#高田選手でした
飛び出してシュートを防いだGK11#高田選手、関東大会で見せたドリブルワークがここで爆発します!
相手エリア深くまで一人でボールを持ち込むと、そこからシュート!ゴールこそなりませんでしたが、会場は大盛り上がり!!相手コーチ陣もこのプレイには拍手喝采でした。
GK12#高田選手の駆け上がりは、勢い付こうとしていた韓国代表の勢いを落とすことに成功します
関東選抜はこの後9#橋口選手が1点を返して前半終了。リードを許しているものの、まだまだ射程圏内。このまま逆転を目指します!
後半
負けてはいるものの、悪くない展開が続く関東選抜。一人一人が意見を出し合って、軌道修正していきます。
開始5分で1点ずつ追加しあった両チーム。
韓国はミドルシュートを多用し、GK12#高田選手が反応しきれないほど強烈なシュートで点を積み上げていきます。
クリアボールを拾われ、第二PKスポット付近からのシュートを叩き込まれ、4-7。そしてディフェンスの処理ミスから8失点目。ずるずると悪い流れに飲まれていく関東選抜。しかし、それでも時間がある限り攻め続けます。
しっかりと、目の前の相手に食らい付いてきました。誰一人諦めることなく、最後まで走り続け、声をあげ続けました。守ってはGK12#高田選手がひたすらゴールを守り続けます。もちろん、味方も全力で後押し。11#吉澤選手、8#世羅選手が攻撃に守備にと動き回り、若い12#高田選手を助けます。
GK12#高田選手は、横っ飛びでシュートを弾きます
11#吉澤選手の身体を張ったディフェンスは、GK12#高田選手を何度も助けます
FKの危機も、皆が身体を張って食い止めました。
耐えに耐え、攻めに攻め、あっと言う間に時間が過ぎていきます。攻守の役割に関係なく、全員が攻撃し、全員で守る。
呼応するかのように、前線の9#橋口選手も身を挺してディフェンスに向かいます
そして意地のプレイは実を結びました。相手を振り切るドリブル。そしてボールが向かった先は韓国GKの目の前。
前線に詰めていた11#吉澤選手。スライディング気味に、韓国GKよりも一瞬早く触れたボールは詰めていた9#橋口選手の足元へ。そして…迷わず振り抜くシュート!
関東選抜6点目!意地の一発は9#橋口選手!
観客席に向かって吠える!!!
…そして、6-9。
壮絶な打ち合いの末、戦いを制したのは韓国代表でした。
韓国代表の得点はミドルシュートやロングシュートからの得点が多く、ついで関東選抜のミスを突いてのカウンターによる得点でした。完全に崩されての失点は2点。関東選抜のディフェンスはミスも多かったものの、韓国代表のコンビネーションをしっかり押さえていました。
また、得点を奪うことができなかった日本代表戦に比べて、6得点というスコアは十分すぎる内容。攻守にわたり、世界と十分に渡り合える力を示して見せたのです。韓国代表も関東選抜をリスペクトし、素晴らしい試合を演じてくれました。
終盤にケガを負った7#松下選手を称えに行く韓国代表の選手
試合が終わり、観客に一礼する選手達。胸に去来するのは「少しの悔しさと大きな満足感」か、それともその逆なのか。いずれにしても、彼らには大きな手応えが残る試合となりました。
そんな彼らに、見守り続けた観客からは大きな声援と拍手が、いつまでも降り注いでいました。
2試合のみのために結成された、夢のソーシャルフットボール関東選抜チームはこの日で解散。来年のソーシャルフットボール関東大会に向けて、互いに再びライバル同士になります。もしかしたら、再びこのメンバーで戦うことは、もう二度とないかもしれません。
そして明日からは、彼らにとっての「主戦場」である「日常」が戻ってきます。
しかし、この日彼らが得た経験は、フットサルプレイヤーとしてだけではなく、彼らが日常を乗り越えていく上で、きっと大きな力になるに違いないのです。
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エキシビションマッチ第二試合 RESULT
デフフットサル韓国代表 9-6 ソーシャルフットボール関東選抜
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(了)
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