パラキートのパラスポーツ日記

障害者サッカー中心のブログです。アンプティ、電動車椅子、ブラインド、CP(脳性麻痺)、デフ(聴覚障害者)、ソーシャル(精神障害者サッカー)、知的障害者など。そのほかパラスポーツもご紹介!

いよいよ順位決定戦!電動車椅子サッカードリームカップ②

 

順位決定戦はどの試合も白熱の展開!

順位決定戦は好カードが出揃いました。
2年連続決勝に勝ち上がったNanchestre United 鹿児島と、近年全国大会において頭角を現しはじめたFCクラッシャーズの組み合わせや、関東勢同士のライバル対戦。遠からぬ縁があるRed Eagles兵庫と金沢ベストブラザーズの対戦など、どの試合も興味深いものばかり。

5・6位決定戦
5・6位を争うのは、関西の強豪Red Eagles兵庫と北陸の古豪、金沢ベストブラザーズ。近年対戦の実績はありませんが、この2チームには深いつながりがあります。2011年の第2回電動車椅子W杯カナダ大会において、金沢ベストブラザーズの城下健一前監督は日本代表監督、そしてRed Eagles兵庫の近藤公範監督はコーチという間柄でした。

試合はRed Eagles兵庫がペースを握る展開に。10#有田選手10#城下選手は、2011年のW杯の最終メンバー同士のマッチアップで、見応えのあるものになりました。

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金沢ベストブラザーズは攻撃を仕掛けるも精度を欠き、チャンスをものにできません。Red Eagles兵庫とのボール保持率の差が開いていきます。

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ゴールを守る8#中村哲智選手に手を焼く金沢ベストブラザーズを尻目に、Red Eagles兵庫は堅守速攻で、一気に3点を奪います。

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Red Eagles兵庫のパワーヒッター、19#内海選手の重く強烈なシュートが、幾度も金沢ゴールを脅かしました。ゴールの瞬間には、10#有田選手バンパータッチ!

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4#上月一広選手が小気味好い連携を見せます。金沢ベストブラザーズも10#城下選手がコンダクターとなり、2チーム共に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

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惜しいシュートを放つ7#畠幸江選手!この大会のあとチームキャプテンに就任し、これからチームを牽引していく存在になります。

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結果は3-0でRed Eagles兵庫の勝利。Red Eagles兵庫は内容、スコア共に十分な内容での勝利となりました。

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最下位に終わった金沢ベストブラザーズ。大会結果は残念なものでしたが、大きな変革期にあるチームにとっては、一つ一つプレイが今後につながる貴重な経験となったようです。

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そして健闘を称えあうRed Eagles兵庫のメンバー。彼らにとっても、次の戦いまでにチームをどう作っていくか、たくさんの収穫を得た大会となったことでしょう。日本選手権が俄然楽しみになってきました!

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Red Eagles 兵庫(兵庫県 3 VS 0 金沢ベストブラザーズ(石川県)
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3・4位決定戦
そして3・4位決定戦は、レインボー・ソルジャー VS YOKOHAMA Crackersのいわば“ナショナルダービー”。両者合わせて5名の日本代表選手を擁する、強豪同士の対戦です。

 

昨年9月の関東大会決勝で顔を合わせた両者。プレイタイムで決着がつかず、PK戦、そしてコイントスによる判定でレインボー・ソルジャーの優勝という消化不良な対戦となりましたが、両者のユニフォームカラー同様、今回は白黒つける絶好の機会です。

 

試合は開始直後から激しい競り合いに。10#北沢選手9#紺野勝太郎選手のキャプテン対決!就任から1年あまり、すでにYOKOHAMA Crackersのキャプテンとしての風格漂う9#紺野選手

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そしてもう一つの見所が6#内橋選手17#永岡選手の女性プレイヤー同士の対決。毎回白熱する競り合いになりますが、今回も激しいぶつかり合いとなりました。

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前半10分に先制点をあげたYOKOHAMA Crackers。しかしレインボー・ソルジャーも前半終了間際に6#内橋選手の得点で追いつき、1-1のままハーフタイムを迎えます。

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後半も互いにチャンスを作りますが、得点にいたりません。最後のフィニッシュがうまくいかず、焦りが募る両者。

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このまま関東大会と同様PK戦に突入か…と頭によぎった次の瞬間でした。

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後半終了直前、YOKOHAMA Crackersの成長著しい若手選手、5#清水猛留選手の値千金弾が炸裂!2-1の勝ち越しに成功します!YOKOHAMA Crackersベンチ、喜び炸裂!!

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残された時間は後わずか。猛追するレインボー・ソルジャーですが及ばず!

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このまま逃げ切ったYOKOHAMA Crackers。5#清水選手の決勝弾は、勝利を引き寄せるだけでなく、来年のドリーム・カップの出場権も手繰り寄せました。満面の笑みを浮かべる5#清水選手!実は、5#清水選手にとっては選手として初めて、強豪チームから奪った得点。Crackersの赤い魂は、こうして若手に引き継がれて行くのですね。

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互いに相手を思いやるエール交換の声。この2チームは永遠にライバルであり続けて欲しいですね。

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昨年関東大会のリベンジを果たしたYOKOHAMA Crackers。チームの結束を今一度取り戻すために、この先も1試合1試合を大事に戦っていきたいところです。

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敗れはしたものの、やはり強さを見せたレインボー・ソルジャー。直近では振るわない結果が続くも、9月の日本選手権までの十分な時間を使って、さらにパワーアップしてくることでしょう。

「やりやがった…」どよめく決勝

昨年のドリームカップに引き続き、決勝へと駒を進めたNanchester United鹿児島。しかも今年は3人の選手登録という状況にありながら、レインボー・ソルジャーと金沢ベストブラザーズを破っての決勝進出です。

 
対するFCクラッシャーズは、地方大会では結果を出しながらも、全国レベルの大会では強豪チームの後塵を拝してきましたが、マリノス・カップでの優勝や今大会の決勝進出など、急激に頭角を表してきました。
両者の戦いは、電動車椅子サッカー界にどんな風を吹き込んでくれるのでしょうか?

前半

FCクラッシャーズのキックオフから始まった立ち上がり。人数で優位のFCクラッシャーズは、11#飯島選手4#森山選手21#太田大皓選手にボールを預ける形でゲームを進めていきます。

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対するNanchester United鹿児島は、10#東選手の機動力を武器にFCクラッシャーズの隙を突いていきます。

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グループリーグで見せた通り、10#東選手がボールを持ち込めば塩入選手がサポートし、危険なシーンでは二人が一気に自陣に下がって、13#野下選手とともにゴールを守ります。

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11#飯島選手はマシンのサイドを巧みに使ってボールをコントロールし、Nanchester United鹿児島のゴール前へ突進しシュート!澱みのない動きに感嘆します。

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かたや10#東選手も、リアバンパーやマシンのサイドでの鮮やかなボールさばきを見せ、観客を唸らせます。決勝を見守っていたあるチームの関係者からは「もはや芸術の域」と言わせるほど。

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マシンをガードするバンパーは鋼鉄製で、ボールをトラップするには繊細な操作が要求されます。ところが両者はいとも簡単にやって見せるのです。トラップでボールの勢いを殺し、そのままフル回転シュートなど、次元の違うプレイが展開されていきました。

f:id:okina_monkparakeet:20170428191658j:plain試合は両者一歩も譲らず。人数の勝るFCクラッシャーズが多くシュートチャンスを作りますが、Nanchester United鹿児島は素早い判断でゴールを割らせません。精度を欠いたシュートは、幾度もゴールから逸れていきます。

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その後も攻撃をしのぎ切ったNanchester United鹿児島は前半を0-0で折り返すことに成功します。
勢いのあるFCクラッシャーズに、3人のNanchester Unitedはさすがに勝てないと考えた人は多かったはず。それが、前半を0-0で折り返したことでいよいよわからなくなってきました。

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後半

後半が始まると、それまで耐えてきたNanchester United鹿児島が攻勢を仕掛けます。
塩入、東両選手がFCクラッシャーズ陣営を引っ掻き回し、ゲームの支配権を手中に。一方的に押し込む展開が続きます。

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そして後半7分、ついに試合が動きました。FCクラッシャーズのエリア深くでキックインを獲得したNanchester United 鹿児島。蹴るのは10#東選手

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ボール一つ分の隙間を縫うように滑るボールは、飯島選手のバンパーに当たってイレギュラーバウンド。そしてそのままゴールへと吸い込まれます。先制点を奪ったのは不利と目されていたNanchester United鹿児島です!!

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「…やりやがった…」

どこからともなく、ため息に混じって聞こえてきたセリフ。これにはうなずくしかありませんでした。

ビハインドを背負ったFCクラッシャーズは、飯島、森山両選手が攻勢に出るも、決定機を作れません。逆に一人少ない分広くなったスペースを大きく使って、ダイナミックに動くNanchestre United鹿児島に、自由にプレイさせてしまいます。

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FCクラッシャーズが押しこむシーンもありましたが、すぐさまNanchester United鹿児島がカウンターアタック
そして後半17分でした。コーナーキック11#塩入選手が合わせ、だめ押しの2点目を奪います。沸きに沸く観客席。

f:id:okina_monkparakeet:20170428192140j:plain後がなくなったFCクラッシャーズも最後の攻撃に出ようとしますが、それでもペースはNanchester United 鹿児島ペースのまま。時間だけが過ぎていきます。

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ベンチも固唾を飲んで試合の行方を見守ります。

f:id:okina_monkparakeet:20170428192541j:plainそしてタイムアップの笛!Nanchester United鹿児島、人数の不利を逆手にとるような、鮮やかな優勝劇!

f:id:okina_monkparakeet:20170428181843j:plainスペースをダイナミックに使い、シンプルな約束事とテクニックで、FCクラッシャーズに自分たちのサッカーをさせなかったことが勝因でした。
両エース検討を讃えあいます。

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カテゴリこそ違いますが、2月のマリノス・カップに出場したBLACK HAMMERSも3人での優勝を果たし、昨年の日本選手権ではエルスト広島M.S.Cが順位決定戦で4人のチーム相手に3人での勝利をあげています。数の優位は試合の優位ではないという、電動車椅子サッカーの奥深さを実感する、とても素晴らしい一戦となりました。

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Nanchester United 鹿児島(鹿児島県 2 VS 0 FCクラッシャーズ(長野県)
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③へつづく

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