全てが報われる日がやってくる
各地域の予選を勝ち抜いてきたソーシャルフットボール10チームが全国から集い、10月28・29日の2日間にわたり日本一の座を争う「第2回ソーシャルフットボール全国大会(全国精神障がい者フットサル大会)」。いよいよその日が近づいてきました。
国内大会|JSFA|NPO法人日本ソーシャルフットボール協会
2年に1度開催されるこの大会。全国障害者スポーツ大会のオープン競技としての開催です。全国8つの地域でそれぞれ予選会が行われ、うち7つの地域と開催枠で計10チームが出場します。
もちろん熾烈な予選を勝ちぬいた彼らは、実力の面では申し分ない強豪ぞろい。しかし彼らにとって、何気ない日常生活や社会生活こそが本当の戦場です。
予選をくぐり抜けてから本大会までの数ヶ月間、全ての選手たちがその戦いに直面します。「全国大会」という大きなプレッシャーに勝てず涙を飲んで離脱する選手。精神的な疾患により会場へ行くことが困難な選手。大会出場よりも社会復帰の道を選ぶ選手。日々の生活に疲れ競技から離れる選手…。愛媛を目指す全ての選手や関係者が己と向き合ってきた息詰まる半年間の苦悩が、この日で全て報われるのです。
記念すべき第1回大会は、関東勢が席巻!はたして今大会は?
2015年、愛知県で開催された第1回大会では、関東代表として出場したダルク(東京都)が優勝、次いでEspacio(千葉県)が準優勝となり、関東勢の強さを見せつける形で大会の幕を閉じました。
今大会、関東勢は前回準優勝のEspacio、そしてチーム設立10年目にして初めて、全国大会の切符を手にしたFC PORT(神奈川県)が出場。その関東勢を引きずり下ろすべく、各地域の代表チームも気合が入っていることでしょう。
激戦の連続だった3月の関東予選の模様はこちらから↓
大会はまず5チームずつ2つのグループに分かれ、総当たりにより順位を決定。そして各グループの1位のみで決勝を行い、日本一のチームが決まります。すでにグループ分けと対戦カードは決まっています。出場チームの顔ぶれをグループごとにざっと紹介していきましょう。
※ちなみに2013年の全国障害者スポーツ大会東京大会でも、オープン競技としてソーシャルフットボールが採用されています。以下の表記は「ソーシャルフットボール全国大会」と名称が変更されてからの情報が基準になります。
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グループA
前回大会に出場したリベルダージ北海道以外は、全国大会初出場チームが顔を揃えたグループA。メンタルが特に影響するソーシャルフットボールにおいては、緊張に呑まれず普段のパフォーマンスをいかに発揮できるかが勝負の鍵です。
中国代表 鳥取県選抜(鳥取県)初出場
中国予選では岡山県選抜とのガチンコ勝負で3-0のスコアで勝ち上がった鳥取県選抜。
「絆」を大切に活動することを是として活動しています。ソーシャルフットボールはチームワークが最大の武器。普段通りのコンディションで臨めるかがポイントです。
関東代表② FC PORT(神奈川県)初出場
初の全国大会出場に、チームの士気は高まっています。「当事者中心のチームが結果を残すことで、全国の当事者を勇気づけたい」という気持ちで挑みます。パラキートも所属するチーム。会場で皆さんとお会いするのが楽しみです!
北海道代表 リベルダージ北海道(北海道)2大会連続2回目
札幌を中心に活動する、道内約16のチームから選抜されたメンバーで構成されたチーム。前回大会では惜しくも順位つかずでしたが、その経験を活かし優勝を狙います。YARIMASSE大阪と並ぶ優勝候補の一角です。
関西代表① YARIMASSE大阪(大阪府)初出場
大阪そして関西予選と激戦をくぐり抜けてきた強豪ですが、意外にも今大会初出場。しかしハードな練習を積み重ね、メンタル的にもケアを万全にしている様子。すでに優勝候補の呼び声も高く、グループA内では一歩抜きん出た存在です。
四国代表 CitRungs Tossa(高知県)初出場
四国4県で争われた四国予選では2位の成績ですが、愛媛が開催枠で出場が決まっているため、繰り上がりで出場を果たしました。四国開催というホームアドバンテージを活かすことができれば、他の4チームを出し抜くことも十分可能です。
グループA・展望
グループの中で頭一つ抜けているのはYARIMASSE大阪、次いでリベルダージ北海道。2チームとも強化だけでなく、イベント参加や他種目との交流など、社会への接点作りを精力的に行っており、メンタル的にも対処法を心得ている印象です。遠征費用や飛行機での移動も絡むリベルダージ北海道に比べ、移動が少ないYARIMASSE大阪は万全の体制で臨めそう。関東から参戦のFC PORTは、勢いに乗るために初戦でいい入り方をしたいところ。鳥取選抜、CitRungs Tossaは大会の雰囲気に飲まれず試合に入れるかがポイントになりそうです。
グループA日程・対戦カード
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グループB
逆に前回大会の出場経験があるチームで固まったのはグループB。前回準優勝のEspacioが優勝候補筆頭ですが、前大会で驚異の得点力を見せつけた長崎ワイルドアミーゴズをはじめ、追いかける4チームも癖のあるチーム揃い。グループB、激戦必至です!
九州代表 長崎ワイルドアミーゴズ(長崎県)2大会連続2回目
九州2チームの選抜メンバーで構成されたチーム。前大会5位という成績でしたが、16得点3失点の得失点13は12チーム中なんと2位。失点率の少ないチームが揃うグループの中でその驚異的な攻撃力を再び見せることができるか。
東海代表 エストレージャあいち(愛知県)2大会連続2回目
2チーム体制で臨んだ東海予選を、なんとワンツーフィニッシュでくぐり抜けた愛知県選抜。地元開催だった前回大会は4位という好成績を納めましたが、今回はもちろん優勝を狙います。若手で構成されたとても良い雰囲気のチーム。頑張ってほしいです!
関東代表① Espacio(千葉県)2大会連続2回目
前回準優勝のEspacio。関東予選を7得点無失点という安定したパフォーマンスで制覇、その後も近隣の強豪と練習試合を重ね、さらに洗練されています。日本代表候補選手を複数擁し、文字通りソーシャルフットボールの旗艦チームとしての存在感が光ります。
開催枠 愛媛オレンジスピリッツ(愛媛県)初出場
開催枠として繰り上がり出場を果たした愛媛オレンジスピリッツ。国体開催県として意気高く、県民の後押しを受けての出場となります。失うもののない状況で挑むチームは、時に大きな仕事をやってのけることもあり、目が離せません。
関西代表② おこしやす京都(京都府)2大会連続2回目
ホスピタリティ溢れるチーム名が眩しい「おこしやす京都」。誰でもウェルカムな印象とは裏腹に、YARIMASSE大阪やFCウエノといった強豪と常にしのぎを削り、関西予選を2位通過する実力を培ってきました。仲の良いメンバーが一丸となって、悲願の優勝を狙います。
グループB・展望
前回準優勝のEspacioがやはり1位突破の本命。かなりの数の練習試合を重ね、ほぼ死角なしといったところ。そこへ得点力の長崎ワイルドアミーゴズ、若さのエストレージャあいちが絡んで行く展開か。レベルの高い関西勢に揉まれてきているおこしやす京都も侮れない存在です。開催枠の愛媛オレンジスピリッツは、開催枠という絶対的なホームアドバンテージがあり、そして2013年の全国障害者スポーツ大会・東京大会で強豪と対戦経験があるなど、下馬評を覆す可能性も十分に持ったチームです。
グループB日程・対戦カード
決勝
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10月29日の決勝は各グループ1位が相見える最後のガチンコ勝負。果たして今回はどのチームが戴冠するのか。
運命の時まであと2週間。勝敗の行方はもちろん気になりますが、何よりも全てのチームが出来る限りの最高の準備をして、無事に愛媛の地にたどり着いて欲しいです。この大会に惜しくも出場できなかった仲間の分もベストを尽くし、そして大会が終わった時、この半年余りの重圧から解放され、敵味方という関係ではなくソーシャルフットボールに集う仲間として交流ができることを心待ちにしています。
取材者として、当事者として
パラキートブログを読んでくださっている関係者の方はご存知だと思いますが、パラキートは昨年8月よりFC PORTにスタッフとして所属しています。
今回もスタッフとして帯同しますが、同時に取材者としてカメラを抱えて会場を飛び回ることになります。時にはチームの試合を離れ、別コートの撮影に伺うこともあるかと思いますが、取材者としては極力、中立の立場でありたいと思っています。
一番左端がパラキートです。FC PORTも関東大会が終わってから今日までの半年間、本当に様々な紆余曲折がありました。それはまた、大会が終わった後にでも。
実はこの半年の間に、幾つかのチームの選手・関係者と、時にはSNSを通して、時には実際にお会いして、交流をさせていただきました。互いにライバル同士にも関わらず快く迎えてくださり、また時には激励や戦術のアドバイスなどもいただきました。そして実際にお会いした方々からは、純粋にフットボールを愛し、そして懸命に自身に向き合う様子をうかがい知ることができました。
そんな経験を通して、今大会が素晴らしいものになることを確信していますし、私を受け入れてくださった他チームのメンバー含めて、全てのチームがベストを尽くしてほしいと心から願っています。
それでは2週間後、愛媛の会場でお会いしましょう!
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(了)
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